不動産鑑定についてReal estate Appraisal

不動産鑑定評価の概要

評価する物件の基本的事項の確定

  • 対象物件の確定

    物的確定(評価すべき物件の位置・面積等を特定)、所有権及び所有権以外の権利を確定

  • 価格時点の確定

    価格判定の基準となった年月日

  • 価格又は賃料の種類の確定

    基本的には正常価格であるが、依頼目的及び条件によっては限定価格・特定価格・特殊価格となる場合がある

  • 地域分析及び個別分析

    この分析を行うに当たっては、一般的要因(自然的要因・社会的要因・経済的要因・行政的要因)がどのような影響力を持っているかを的確に把握する必要がある

  • 地域分析

    物件がどのような地域(住宅・商業・混在地域等)に存するのか、その地域はどのような特性(住環境・利便性・繁華性等の良否等)を有するのか、物件の市場性はどのような特性(需給動向・市場参加者の属性等)を有するのか、及びそれらの特性はその地域内の不動産の利用形態と価格形成について全般的にどのような影響力を持っているかを分析し、判定することである

  • 個別分析

    物件の個別的要因(土地では地積・形状等、建物では材質・設計等)が当該物件の利用形態と価格形成にどのような影響力を持っているかを分析して、その最有効使用を判定することである

    不動産の価格は、その不動産の最有効使用を前提として把握される価格を標準として形成されるものであるから、不動産の鑑定評価に当たっては、対象物件の最有効使用を判定する必要がある

鑑定評価の方式

  • 原価方式

    原価法・積算価格

    対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価から減価修正を行って求められた価格

  • 比較方式

    取引事例比較法・比準価格

    取引価格に必要に応じて事情補正・時点修正を行い、かつ、地域要因・個別的要因の比較を行って求められた価格

  • 収益方式

    収益還元法・収益価格

    対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより得られる価格であり、直接還元法とDCF法等がある

  • その他方式

    開発法

    上記3手法の考え方を活用した方法であり、マンション分譲又は住宅団地の更地分譲等を想定して求められた価格

賃料の種類

  • 正常賃料

    正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料(新規賃料)。

  • 限定賃料

    限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するてあろう経済価値を適正に表示する賃料(新規賃料)

  • 継続賃料

    不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料

鑑定評価の手法(新規賃料)

  • 積算法・積算賃料

    対象不動産の基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して求められた賃料

  • 賃貸事例比較法・比準賃料

    賃貸借等の事例の実際実質賃料に必要に応じて事情補正・時点修正を行い、かつ、地域要因の比較・個別的要因の比較を行って求められた賃料

  • 収益分析法・収益賃料

    一般企業経営に基づく総収益を分析して対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益を求め、これに必要諸経費等を加算して求められた賃料

鑑定評価の手法(継続賃料)

  • 差額配分法

    対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料と実際実質賃料又は実際支払賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち貸主に帰属する部分を適正に判定して得た額を実際実質賃料又は実際支払賃料に加減して求める方法

  • 利回り法

    基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して求める方法

  • スライド法

    現行賃料を定めた時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に、価格時点における必要諸経費等を加算して求める方法

不動産鑑定評価の手順

人間の生活および企業の活動に描く事ができない基盤である土地・建物或はそれらに関係する権利(借地・底地・貸家など)を、その不動産の持つ固有の特性等に着目して、自然的・社会的・経済的・法的側面から一般的要因・地域要因・個別的要因等の分析を行い、鑑定評価の各種法を適用して、その適正な経済価値を判定し、これを貨幣額で表示することです。

この不動産の鑑定評価を担当する者として、「不動産鑑定士」が十分に能力のある専門家としての地位を「不動産の鑑定評価に関する法律」によって認められ、付与されている唯一の資格者です。

不動産の財としての特性

土地は全ての経済活動及び人間生活にとって最も基礎的な土台ですが、一般の財と異なる次のような性質をもっています。

  • 土地は、埋立のような例外を除いて、新たに生産することが不可能であり、土地の総供給量は固定的です。 しかし、土地の利用形態の転換は可能であり、ある特定の用途の土地供給は長期的には可変的です。
  • 土地は移動することができません。
  • 土地は区分して利用されるが、どの土地も隣の土地と連携して互いに関連し合っています。このことはまた、個々の土地で営まれる経済活動(生産要素として土地利用)において種々の外部効果が発生します。
  • 土地が利用可能となるのは、道路・鉄道など交通施設、下水道・電力・ガス等の公益施設などの社会資本が存在するからで、社会資本が利用可能となってはじめて土地は経済的価値をもちます。
  • 土地はそのおかれている位置によって用途的な性質を異にします。都心からの距離、交通施設、その他の都市施設の利用可能生及びそれらからの距離、その土地の歴史的・地理条件や環境によって、その経済価値が異なることになります。

不動産鑑定士の一日

不動産鑑定 小島 崇史

平成10年にコジマ事務所を設立、多種多様な案件を手がける。

モットーはお客様の笑顔になることが一番。

仕事帰りはドライブするのが趣味。

AM
8:30

対象不動産を現地にて確認します。
確認事項は対象不動産に接面する道路幅員、境界杭の確定、隣地との境界、間口等、出来る範囲で確認します。
というのは、あまりに人通りが多いところでは完全に「怪しい目」でみられるので、調査している事を気づかれないように注意しています。

AM
9:00

対象不動産の評価のため、取引事例を現地にて確認します。取引事例を実際に目で確認することで、資料だけではわからないことも、確認できるのです。
ただし、評価に使うか使わないかわからない10件近くの事例を「徒歩」で見る場合には、相当骨が折れます。

PM
1:00

事例を見て回るには時間がかかたので、遅めの昼食です。
鑑定士の仕事の醍醐味は、いろいろな所にいけること。ラーメンが好きなので、調査前日には美味しいラーメン屋を事前に情報収集しておきます。この日は私の大好きなラーメンにて昼食です。

PM
2:00

市役所、水道局、法務局等に行き、対象不動産と関係する法的な規制や生活に必要な設備が整っているかを調査しに行きます。
調査する市町村によっては役所、法務局、水道局、下水道局等それぞれの場所が離れている場合もあり、そういう場合は先に役所等での調査を終えてから現場にいくことにしています。そうしないと役所等が閉まってしまいますので。

PM
3:45

事務所に帰り、今日の調査を整理します。あまり時間が経ってから整理すると忘れてしまうことも多いので、できるだけ調査したその日のうちに整理をします。
今日の調査の結果をふまえて明日から鑑定評作業にとりかかります。鑑定士は体力も大事なのでリフレッシュも兼ねて運動をするように心がけています。